レンタカー事業を営む法人に向けて、車両の耐用年数や減価償却の計算方法、節税につなげるポイントを解説します。
減価償却とは、事業用資産の購入代金(取得価額)を、購入した年に一括で費用にするのではなく、使用できる期間(耐用年数)にわたって分割して費用計上する仕組みです。レンタカー事業では、貸し出す車両そのものが収益を生む主要な資産であり、減価償却費は利益や税額に大きく影響します。
平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産は、耐用年数が経過した時点で残存簿価1円まで償却できます。
国税庁の耐用年数表では、車両・運搬具の耐用年数が「一般用」と「運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用」に分けて定められています。レンタカーとして貸し出す車両には、後者の区分が適用されます。
貸自動車業用の自動車の耐用年数は、総排気量2リットル以下(貨物自動車は積載量2トン以下)の小型車が3年、総排気量3リットル以上の大型乗用車が5年、それ以外が4年です。一般用の普通乗用車は6年、軽自動車(総排気量0.66リットル以下)は4年なので、レンタカーは同じ車種でも一般用より短い期間で償却できます。
中古車をレンタカーとして導入する場合は、「簡便法」で耐用年数を短縮できます。法定耐用年数の一部を経過している場合は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」、全部を経過している場合は「法定耐用年数×20%」で計算します。1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。
たとえば、貸自動車業用の「その他」(耐用年数4年)に該当する車両で経過年数が2年なら、(4年-2年)+2年×20%=2.4年となり、耐用年数は2年です。経過年数は初度登録から取得時までを月単位で数え、端数の切り捨ては最後に行います。なお、簡便法による算定は事業に供した事業年度にしかできず、その年度に算定しなかった場合、後の年度で算定することはできません。
減価償却の計算方法には、毎年同じ額を償却する「定額法」と、未償却残高に一定の率をかけて初年度ほど多く償却する「定率法」があります。法人の車両は、償却方法の届出をしていなければ定率法で計算します。
定額法は「取得価額×償却率」、定率法は「(取得価額-既償却額)×償却率」で計算し、定率法の償却額が償却保証額を下回った年度からは、改定償却率を用いて計算します。耐用年数3年の場合、償却率は定額法が0.334、定率法が0.667で、定率法なら初年度に取得価額の約3分の2を償却できます。
取得価額には、車両本体価格に加え、カーナビやETC車載器などの付属品、納車費用も含めます。一方、自動車税(種別割)や自動車重量税、自賠責保険料は取得価額に含めず、その期の費用として処理できます。検査登録などの法定費用も、取得価額に含めないことが認められています。リサイクル料金は、取得価額とは分けて資産として計上します。
減価償却費は、車両を実際に事業に使い始めた日(事業供用日)から月割りで計算し、1か月未満の端数は1か月とします。たとえば3月決算の法人が、取得価額240万円の新車(貸自動車業用の小型車、耐用年数3年、定率法)を10月に事業供用した場合、初年度の償却額は240万円×0.667×6/12=80万400円です。同じ車両を4月に事業供用すれば160万800円となり、事業供用のタイミングで初年度に計上できる額が大きく変わります。
レンタカー車両は耐用年数が3〜5年と一般用より短いため、早い時期に多くの減価償却費を計上できます。定率法の償却率は耐用年数6年なら0.333ですが、3年なら0.667となり、初年度の償却額はおよそ2倍です。
中古車を導入すると、さらに耐用年数を短くできます。一般用の普通乗用車(6年)では、耐用年数が2年になるのは経過3年10か月以上の車両です。これに対し、貸自動車業用の小型車(3年)はわずかでも経過していれば2年になり、「その他」(4年)も経過1年4か月以上で2年になります。耐用年数2年の定率法の償却率は1.000のため、期首に事業供用すれば初年度に1円を残して全額を償却できます。
青色申告をしている中小企業者等(常時使用する従業員400人以下など)は、令和8年4月1日以後に取得した40万円未満の減価償却資産について、年間合計300万円までを取得した期に全額損金算入できます。適用期限は令和11年3月31日までで、確定申告書への明細書(別表16(7))の添付が必要です。
主要な事業として行う貸付けに使う資産は特例の対象から除かれないため、レンタカー事業で使う資産にも適用できます。ただし車両本体は通常40万円を超えるため、主な対象は店舗の備品やパソコン、予約管理用の端末などになります。後付けの車載用品は車両と一体として扱われる場合もあるため、判断に迷うときは税理士に確認しましょう。
償却が進んだ車両を売却すると、売却額と帳簿価額の差額が売却益となり、法人税の課税対象になります。耐用年数の短いレンタカー車両は帳簿価額が早く小さくなるため、入れ替えで売却したときに大きな売却益が出やすい点に注意が必要です。減価償却は課税の繰り延べにすぎないと捉え、売却する期の利益も見込んでおきましょう。
大手レンタカー会社では、乗用車をおおむね2年(地域によっては3年)で入れ替えており、都市部では2年で走行距離が7〜8万kmに達すると報じられています。新車の耐用年数が3〜4年であれば、償却が終わる前に売却するケースも少なくありません。車両ごとの入れ替え時期を想定し、売却損益と償却のタイミングを一体で計画することが大切です。
減価償却費は費用になりますが、車両の購入代金は実際に現金で出ていきます。節税を優先して手元資金を減らしすぎないようにしましょう。また、事業に使っていない車両は減価償却の対象にならないため、貸渡実績や稼働記録を残しておくことが重要です。
レンタカー車両には「貸自動車業用」の耐用年数(3〜5年)が適用され、法人は定率法を使うことで初期に多くの経費を計上できます。中古車なら簡便法でさらに耐用年数を短縮できますが、売却益への課税や資金繰り、入れ替えサイクルとの整合にも注意が必要です。個別の判断は税理士に相談しながら進めましょう。

※2025年8月1日公式HP確認時点
※2025年8月1日公式HP確認時点
