レンタカー事業の稼働率の目安を事業モデル別に整理し、稼働率を上げるための具体策を解説します。
稼働率とは、保有している車両が一定期間のうち何日貸し出されたかを示す割合です。たとえば30日のうち15日貸し出せば、稼働率は50%になります。
レンタカーの売上は「平均単価×稼働日数×台数」で決まるため、稼働率が収益性を大きく左右します。中古車を使った格安レンタカーの例では、平均単価3,500円で5台を月10日ずつ貸し出しても、売上は月17万5,000円にとどまります(※1)。月間約7,000件を貸し出すレンタカー会社の現場担当者も、稼働率を最重要指標に挙げています(※2)。
短期貸しが中心の店舗では、立地によって稼働率に大きな差が出ます。駅から遠い郊外の店舗では、土日は満車でも平日は車が空きやすく、稼働日数は土日祝日を合わせても月8〜10日程度にとどまりがちです。実際に、こうした店舗で稼働率が30〜40%で推移していた事例があります(※1)。
一方、都心の駅近で24時間・無人営業を行うサービスでは、34台の平均稼働率が70%を超え、1台あたり月20〜25日貸し出していると公表されています(※3)。
週単位・月単位の中長期貸しや法人利用が多いモデルでは、稼働率を高く保ちやすくなります。中長期貸しに特化したFC本部への取材記事(2024年)では、法人利用が4割、平均レンタル期間が2〜3か月、稼働率は60〜70%とされています(※4)。同じ本部の自社サイトでは、常時約8割の稼働率をキープしていると紹介されています(※5)。
人口7.4万人の郊外で長期貸しに特化し、顧客の約7割が法人という企業で、稼働率70〜80%を実現している事例もあります(※6)。いずれも各社の自社公表値や取材時点の数値である点には留意してください。
観光需要の大きい地域では、季節による差が顕著です。沖縄のFC本部が示す試算では、繁忙期(GW・夏休み・年末年始)の稼働率は90%以上、閑散期(1〜2月・梅雨時期)は40〜50%とされ、20台運営時の月間売上は約460万円と約210万円で2倍以上の差が出ます(※7)。稼働率の目安は、繁忙期の数字ではなく年間平均で考えることが大切です。
車両代や保険料、税金・車検などの維持費は、車が稼働していなくても毎月発生します。稼働率が低いとこうした固定費を回収できず、レンタカー用に車両を購入してロイヤリティも支払う加盟店ほど粗利が圧迫されます(※1)。前述の沖縄の試算でも、稼働率45%の閑散期は売上が繁忙期の半分以下となり、固定費を差し引くと赤字に転落するおそれがあるとされています(※7)。
平日の空きを埋めるうえで効果的なのが法人向けの営業です。地域の法人企業は大手レンタカー会社の営業が手薄になりやすく、中小の事業者でも狙いやすい客層とされています(※6)。立地に恵まれない郊外の店舗でも、法人貸出を強化したことで稼働率を30〜40%から80〜90%(法人貸出を含む)まで高めた事例があります(※1)。
1週間や1か月単位の中長期レンタルは、一度貸し出せば一定期間の稼働が確定するため、稼働率が安定します。貸出・返却の回数が少なく、受付や洗車の手間も減らせる点もメリットです。前述の中長期特化モデルでは、契約の延長率が40〜50%に上るとされており、継続利用が稼働率を支えています(※4)。
営業時間の制約を取り除くことも、稼働率の向上につながります。都心で24時間・無人のレンタカーを展開する企業によると、利用者の約80%が一般的な店舗の営業時間(原則8〜20時)外に出発・帰着しているといいます(※3)。スマートフォンで予約から返却・決済まで完結できる仕組みは、早朝・深夜のニーズを取り込む手段になります。
予約サイト(OTA)だけに頼らず、自社サイトやSNSからの集客も強化すると、予約の取りこぼしを減らしつつ手数料負担も抑えられます。観光需要が落ちる閑散期には、法人向けの長期レンタル契約を提案して稼働を確保するのが有効です(※7)。
事故による修理は避けられませんが、修理期間中の車両は貸し出せず機会損失になります。月間約7,000件を貸し出す直営9店舗のレンタカー会社では、事故発生率が約1%で推移するなか、全店で修理工場と提携して入庫から引取りまでの段取りを統一し、稼働停止期間の短縮を図っています(※2)。板金・修理の体制を自社や提携先で整えられる自動車関連事業者は、この点で強みを発揮できるでしょう。
独立開業では、集客や地域ニーズの把握をすべて自力で行う必要があり、特に開業初期は稼働率を確保できず苦戦しやすくなります(※5)。フランチャイズに加盟すれば、本部の予約システムやブランド力、広告宣伝を活用でき、開業初期から一定の集客を見込めます(※7)。本部によっては、法人営業のノウハウを加盟店に落とし込むバックアップ体制を強みとしているところもあります(※1)。
ただし、加盟店は売上の一定割合や月額固定のロイヤリティを支払う必要があり、車種や料金設定に本部の制限がかかる場合もあります(※5)。こうした負担と支援内容を比較したうえで、レンタカーFCの選び方も参考にしてください。稼働率を自力で安定させる自信がない場合は、FC加盟が有力な選択肢になるでしょう。
レンタカー事業の稼働率は、短期貸し中心なら立地次第で30〜70%、法人・中長期貸しのモデルなら60〜80%台が目安です。季節変動もあるため、年間平均で計画を立てることが欠かせません。法人需要や中長期レンタル、利便性の向上、修理期間の短縮などを組み合わせ、自力での集客に不安があればFCの活用も検討しましょう。

※2025年8月1日公式HP確認時点
※2025年8月1日公式HP確認時点
