中古車販売とレンタカー事業の兼業について、相性が良い理由と、始める前に押さえたい注意点を解説します。
中古車販売の業界では、新車の納期遅延や海外輸出の増加などで国内の流通台数が不足し、仕入価格が高止まりしています。インターネットで相場を簡単に比較できるため、仕入価格が上がっても販売価格に転嫁しにくく、車両の売買差益だけに頼るビジネスモデルでは利益を確保しにくくなっています。
一方、レンタカー側でも、車両を貸すだけでなく販売して収益化する動きがあります。沖縄県のレンタカー会社では、通常は2〜3年リースした後にオークションで売却していた車両を、購入希望者が現れた時点でリースを解約し、個人向けに販売する方法へ切り替えたと報じられています。中古車販売とレンタカーの双方から、兼業が進んでいるといえるでしょう。
参照元:琉球新報|レンタカー「ユウ・アイ」が個人向け中古車販売 観光低迷で収益確保へ(2021年9月7日)(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1388665.html)
中古車販売店にとって、販売待ちの在庫車両は売れるまで収益を生まない資産です。レンタカー事業を兼業すれば、こうした在庫車両を一時的に貸し出して稼働させ、売れるまでの期間にも収益を得られます。展示場に置いておくだけの期間を減らせるため、在庫回転率の改善にもつながります。
レンタカーFCの中には、販売在庫車両をレンタカーとして貸し出すことを認め、在庫リスクの低減をうたう本部もあります。レンタカー車両の調達の手段として、手持ちの在庫を活用できる点は大きな利点です。ただし、貸し出す車両はレンタカーとしての登録(わナンバー)が必要になる点に注意しましょう。
反対に、レンタカーとして稼働させて収益を上げた車両を、中古車として販売する流れもつくれます。貸渡で一定の収益を回収した後に販売へ回せば、1台の車両から「貸す」と「売る」の両方で利益を得られます。
報道によると、前述の沖縄のレンタカー会社では、レンタカーを個人客へ直接販売することで、一般的な中古車販売店より1〜2割ほど安い価格を実現しているとされています。レンタカーは定期的な点検が義務付けられているため、比較的状態の良い車を販売できる点もメリットとして挙げられています。
参照元:琉球新報|レンタカー「ユウ・アイ」が個人向け中古車販売 観光低迷で収益確保へ(2021年9月7日)(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1388665.html)
レンタカー利用が車両購入の検討につながりやすい点も、兼業ならではの強みです。数日間実際に乗って使い勝手を確かめた車種であれば、利用者は購入後の生活をイメージしやすくなります。レンタカーで気に入った車種の購入を提案したり、販売車両をすぐに試乗してもらえたりと、貸渡と販売の間で送客の循環を生み出せます。
中古車販売や整備を営む事業者は、車両の目利きや仕入ルート、日々の整備技術をすでに持っています。これらはレンタカー事業でもそのまま活かせる強みです。自社ルートで状態の良い車両を割安に仕入れたり、点検・整備を自社で対応したりできれば、新規参入の事業者に比べて車両コストや外注費を抑えやすくなります。
中古車販売とレンタカー事業は、それぞれ別の法律に基づく許可が必要です。中古車を仕入れて販売するには古物営業法に基づく古物商許可が必要で、主たる営業所を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に申請します。警視庁の場合、申請手数料は19,000円です。
一方、レンタカー事業には道路運送法に基づく自家用自動車有償貸渡の許可が必要で、申請先は運輸支局です。富山運輸支局の手引きでは標準処理期間を1か月としており、許可後は登録免許税9万円の納付や、わナンバーでの車両登録などの手続きが続きます。古物商許可だけではレンタカー事業はできないため、兼業する場合は両方の許可を取得しなければなりません。具体的な手順はレンタカー事業開業までの流れもあわせて確認してください。
参照元:警視庁|古物商許可申請(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html)
参照元:国土交通省 北陸信越運輸局 富山運輸支局|自家用自動車有償貸渡(レンタカー事業)許可申請等の手引き(https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/toyama/pd/pdf/renta_tebiki.pdf)
自家用乗用車の定期点検が1年に1回であるのに対し、乗用車のレンタカーは6か月に1回の定期点検が義務付けられています。運行開始前の日常点検も必要で、点検整備記録簿の管理も求められます。
さらに、乗用車などのレンタカーを10両以上保有する場合は、使用の本拠ごとに整備管理者を1人以上選任しなければなりません。中古車販売で整備に慣れていても、レンタカー特有の点検サイクルを確実に回せる体制を整えておくことが重要です。
参照元:国土交通省 中部運輸局 愛知運輸支局|レンタカーの定期点検、日常点検及び整備管理者について(https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/aichi/renta_koshu/tenkensebi_hoan.pdf)
レンタカーとして使った車を販売する際は、購入者が気にしやすい点への配慮が欠かせません。レンタカーは不特定多数の人が運転するため、年式の割に走行距離が伸びやすく、頻繁な洗車による細かな傷や、内装の汚れ・損耗が生じていることもあります。
また、自動車公正取引協議会のルールに基づき、中古車のプライスボードなどにはレンタカーとして使われていた旨の使用歴の表示が求められます。販売を見据えて、貸渡中から傷やへこみの板金補修、車内清掃、点検記録の保管を徹底しておくと、購入者の不安を和らげられるでしょう。
レンタカー事業が未経験の場合、許可申請や予約の集客、貸渡・保険・事故対応といった運営ノウハウを一から整えるのは負担が大きくなります。そこで選択肢となるのが、レンタカーFCへの加盟です。
FCの中には、自動車関連事業者の兼業を前提とした支援を用意している本部もあります。たとえば「ニコニコレンタカー」は、事業免許の取得支援や予約・車両管理システムを提供しており、利用予約の約9割が本部集客による送客としています。導入費は90万円(税別)で、加盟料や研修料、運用資材などが含まれています。また「スパイスレンタカー」は自動車の販売・整備事業者向けに、在庫車両の貸し出しやレンタカー車両の販売を認めており、ロイヤリティは月5万円の固定制です。
まずはFC加盟でレンタカー運営の経験を積み、稼働が軌道に乗ってから中古車販売との在庫連携を本格化させる進め方であれば、リスクを抑えやすいでしょう。支援内容や費用は本部ごとに異なるため、レンタカーFCの選び方を参考に複数の本部を比較して検討することが大切です。
参照元:ニコニコレンタカー フランチャイズ加盟店募集|事業説明(https://www.rentas.co.jp/franchise/businessmodel/)
参照元:スパイスレンタカー|加盟店舗募集(https://spice-carrent.com/fc/)
レンタカー事業と中古車販売の兼業は、在庫車両の活用や販売への送客、仕入れ・整備ノウハウの活用など、互いにメリットを生みやすい組み合わせです。一方で、古物商許可とレンタカー許可の両方が必要なことや、点検・整備管理、使用歴の表示などの注意点もあります。未経験ならFCの支援を活用し、段階的に兼業体制を整えていきましょう。

※2025年8月1日公式HP確認時点
※2025年8月1日公式HP確認時点
